ベッリーニ / ヴェルディ 《海賊》

海賊ベッリーニ 《海賊》とヴェルディ《海賊》の対訳テンプレートを作成しました。

テンプレートはこちら → ベッリーニ 海賊
テンプレートはこちら → ヴェルディ 海賊

日本語ではどちらも《海賊》ですけど、イタリア語のオリジナルタイトルはベッリーニが「Il Pirata」、ヴェルディが「Il Corsaro」、どう違うのか?

テンプレはどちらも去年出来上がっていましたが、違いを調べてから公開しようと思ううちにずるずると時間だけが過ぎてしまいました。

先日、なにげなく覗いたブログにその答えがでていました。記事のタイトルからはそこに解答があるなんて全く予想できなかったのに何故かクリックしていました。すごい偶然!

塩野七生女史の著作とオペラ 2@音楽ペンション 山のわが家

先ず「ローマ亡き後の地中海世界」の冒頭に、海賊について日本語訳が1つしか無いが、西洋には、”ピラート”と"コルサロ”という2つの言葉で意味の違いを使い分けていたそうです。

さっそく図書館で借りてみました。ローマ亡き後の地中海世界(上) 、目次の前に2ページを割いて解説が置かれています。

日本語には、集団を組んで海上を横行し、他の船や沿岸に住む人々を襲っては、物を奪ったり人間を拉致したりする盗賊を表す言葉としては、海賊の一語しかない。

だが、日本の外では昔から、二種類の海賊が存在したのである。英語を例にとれば、piratecorsairに。

それで英語ならばpirateとなる海賊だが、古代ギリシア語のpiratesがローマ時代になってラテン語のpirataになったものを語源にしている。ゆえにラテン語の長女格のイタリア語では、pirataと今もそのままで変わらない。イタリア語や英語以外の他の言語でも、古代のラテン語を語源にしていることでは同じだ。つまり、こちらのほうの海賊は、昔からずっと存在していたということである。

ところが、corsairとなるとちがってくる。この英語の語源もラテン語のcursariusだが、このラテン語は古代のギリシア語に由来してもいず、と言ってローマ人の言語であったラテン語にも由来していない。ラテン語であることでは同じでも、中世になって出来たラテン語なのである。そして、この中世ラテン語から、後代の西欧諸国の言葉が派生していく。

イタリア語だと corsaro
フランス語では corsaire
英語になると corsair
ドイツ語でも Korsar

ここでは、中世の地中海世界の主人公の一人であった海賊とは最も深く長期にわたって関係をもったのがイタリア人であったことから、この二種の海賊を表す言葉としてイタリア語を用いるが、そのイタリア語でも「ピラータ」と「コルサロ」に分かれていたのには理由があった。一言で言ってしまえば、

ピラータは、非公認の海賊であり、
コルサロは、公認の海賊、であったからだ。

前者は、自分自身の利益を得ることを目的として海賊行為に従事する者である。

一方、後者となると、同じように海賊行為は行っても、その背後には、公認にしろ黙認にしろ、国家や宗教が控えていた者たちを指す。ゆえにコルサロとは、公益をもたらす海賊、と考えられていたのである。近世に入ってならば、イギリスの女王エリザベス一世時代のフランシス・ドレークの例が有名だ。

海賊といえばピラータしか存在せず、それゆえ単なる犯罪者として厳罰に処していればよかったのが、「パクス・ロマーナ」時代のローマ帝国であった。法治国家を認じていたローマ人にしてみれば、たとえ国益につながろうと、罪もない人々を拉致したり、彼らの財産を奪ったりする行為は、許されてよいことではなかったからだろう。この意味の海賊を表すcursariusはラテン語だが、古代のローマ人のラテン語ではなく、ローマ帝国滅亡後の中世のラテン語であることからして、この史実を証明しているように思える。

日本語には、ピラータとコルサロのちがいもなくただ海賊という一語しかなかったのは、日本人がローマ人並みの法治民族とはとても言えない以上、コルサロ式の海賊に苦しまされてきた歴史が、日本にはなかったからではないかと思っている。つまり日本人にとっての海賊は、ピラータのみであったのではないか。それゆえか、外国語の日本語訳辞書でも、この両者ともを海賊としか訳していない。
(中略)
これもまた、人間世界を律してきた秩序が崩壊した時代の特色の一つである。単なる犯罪と、大義名分つきの犯罪が分けて考えられ、それに人々が疑いをいだかないこと自体が、法の権威の失墜を意味するからであった。
(後略)

引用なげ~よ!w

なるほど、無敵艦隊を打ち負かしたドレーク船長がコルサロというのはわかりやすい。ヴェルディの「海賊」はトルコ(イスラム)を攻撃し、ベッリーニの「海賊」は最後には法の裁きを受けるという違いなのですね。

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この記事へのコメント

2018年05月02日 13:29
見れないならのせんな

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