シュトラウス ≪サロメ≫ (森鴎外訳)対訳改訂完了

サロメリヒャルト・シュトラウス ≪サロメ≫のリブレット歌詞対訳(森鴎外訳)の改訂をひとまず完了しました。

日本語対訳はこちら → サロメ(森鴎外訳)

この≪サロメ≫のリブレット対訳を作成したのはもう2年前のことになります。まだプロジェクトを立ち上げてから日も浅くいろいろ手探り状態であったことに加え、なんといっても当時、対訳制作にあたったワタクシ管理人はドイツ語の人称代名詞は ich と du しか知らない有様でした。

そんな体たらくでよい対訳ができるはずもなく、今回、もう一度底本にあたって見直してみると脱落や転記ミスが多数見つかりました。林太郎先生ごめんなさい。

改訂は先月下旬から始めて、本日、最後まで悩んだ「己」→「俺」の変更を持って、ひとまず完了します。主な改訂箇所は次の通りです。
  • ドイツ語原語の改行調整
    原語リブレットのデジタル・テキストがもともとセンテンスをぶつ切りに細かく改行していたのを、基本的にセンテンスを1行(ただし折り返しは出ます)で表示するように改行を減らしました。

  • 改ページ位置の変更
    アットウィキ仕様の制限(最大1200行)のために、1ページに収まらない幕をどの位置で改ページするか、いつも頭が痛いです。上の改行調整で行数が減ったおかげで≪サロメ≫の改ページ位置を理想的な場所に持ってくることができました。改訂版では「ヨカナーン退場→ヘロデ王登場の間奏」「七つのヴェールの踊り」で改ページしています。歌詞の無い時間が長く続きますので、慌てずにページを繰ることができるようになりました。

  • 「己」→「俺」の変更
    底本では「己」に「おれ」とルビが振ってあります。現代では「己」は「おのれ」と読み「おれ」は「俺」で表記することがほとんどです。また「おのれ」は二人称を指す場合もあり無用な混乱はさけたほうがよいと考えました。
     例)毎日己(→俺)が食物を持って行くが、その度に己(→俺)に礼をいうのだ。
     例)ソドムの娘。己(→俺)の傍へ近寄るな。

    「己」のままで読者に「おのれ」と読んでもらうというのも、威厳たっぷりの聖者ヨカナーンの場合はアリかもしれませんが、兵士まで「おのれ」はちょっと違うと思いました。思い切って全ての「己」を「俺」に変更しました。

  • 脱落していた和文の復元
    森鴎外はワイルドの戯曲(ラッハマンの独語訳)を翻訳したのであって、シュトラウスのリブレットを翻訳したわけではありません。そのため、鴎外の訳文の中にはシュトラウスがリブレットに採用しなかった章句が山のように残っています。(例えば、ヘロデの指輪をヘロディアスが抜き取って首切りナアマンに渡しますが、この指輪の効力はシュトラウスがカットした冒頭の兵士の会話の中で触れられていたりします。)ドイツ語全然ダメな私が鴎外の訳文からリブレットに対応した詩句のみを拾い上げる作業が的確であるはずもなく、多くの詩句が脱落していました。その後この2年で放送大学のドイツ語講座なんかを見て少しはわかるようになったのですが、まだまだです。他にも異同があるやもしれません。ご遠慮なくゲストブックにご指摘ください。ただし、底本を図書館から借りて確認することになるので、訂正まではしばらく時間をください。

  • 脱落していたドイツ語テキストの復元
    原語リブレットのデジタル・テキストは例によって Opera Guide から持ってきましたが、そのドイツ語テキストにも脱落がありましたので復元しました。

  • その他転記ミスや旧カナ遣い改め等多数
    濁点の有無の転記ミスや「思ふ→思う」の旧カナ遣い改め忘れなどマイナーな修正多数。

また、テスト公開中のPDF版日本語対訳も改訂版に置き換えてあります。

さて、今月末には東京二期会による≪サロメ≫公演があります。改訂版日本語対訳を予習にお役立てください。

サロメ:林 正子(2/22・25) 大隅智佳子(2/23・26)
ヘロデ:高橋 淳(2/22・25) 片寄純也(2/23・26)
ヘロディアス:板波利加(2/22・25) 山下牧子(2/23・26)
ヨカナーン:大沼 徹(2/22・25) 友清 崇(2/23・26)
ナラボート:水船桂太郎(2/22・25) 大川信之(2/23・26)
ヘロディアスの小姓:栗林朋子(2/22・25) 田村由貴絵(2/23・26)
ユダヤ人1:大野光彦(2/22・25) 髙田正人(2/23・26)
ユダヤ人2:岡本泰寛(2/22・25) 菅野 敦(2/23・26)
ユダヤ人3:与儀 巧(2/22・25) 新津耕平(2/23・26)
ユダヤ人4:松永国和(2/22・25) 加茂下稔(2/23・26)
ユダヤ人5:境 信博(2/22・25) 畠山 茂(2/23・26)
ナザレ人1:小田川哲也(2/22・25) 北川辰彦(2/23・26)
ナザレ人2:西岡慎介(2/22・25) 桜井 淳(2/23・26)
兵士1:吉川健一(2/22・25) 井上雅人(2/23・26)
兵士2: 福山 出(2/22・25) 倉本晋児(2/23・26)
カッパドキア人:須山智文(2/22・25) 千葉裕一(2/23・26)
管弦楽:東京都交響楽団
指揮:シュテファン・ゾルテス
演出:ペーター・コンヴィチュニー
美術・衣裳:ヨハネス・ライアカー
照明:マンフレット・フォス
演出助手:ロッテ・デ・ビール 澤田康子 太田麻衣子
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:多田羅迪夫

2月22日(火) 19:00開演
2月23日(水) 14:00開演
2月25日(金) 19:00開演
2月26日(土) 14:00開演

S18,000 / A14,000 / B10,000 / C8,000 / D6,000 / E2,000

東京文化会館大ホール

※未就学児童入場不可。
※オランダ、日本、スウェーデン3国の共同制作となる本公演は、コンヴィチュニー氏による演出表現として、一部にセクシャルかつ常軌を逸するアヴァンギャルドな表現を含んでおります。予めご了承のうえ、ご購入ください。

きゃ~この断り書き、よこしまな期待をしてもいいのかしら?

サロメ(森鴎外訳)
林正子@オペラ配役プロジェクト
大隅智佳子@オペラ配役プロジェクト
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