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zoom RSS ワーグナー 《ローエングリン》 第3幕(全曲) YouTube動画公開

<<   作成日時 : 2015/02/01 12:00   >>

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ローエングリンワーグナー 《ローエングリン》第3幕全曲のドイツ語日本語対訳字幕付き動画を昨日公開しました。翻訳はwagnerianchanさまです。

動画はこちら → ローエングリン
対訳はこちら → ローエングリン

全部聴く時間がない方は冒頭の「第3幕への前奏曲」と続いて流れる「結婚行進曲」だけでもお楽しみください。どちらもワーグナーの書いたメロディの中では「ワルキューレの騎行」に次いで有名なんではないでしょうか。

音源はルドルフ・ケンペ指揮によるウィーン・フィル盤です。昨年末で公開から50年の著作隣接権保護期間が終了し、日本をはじめ著作隣接権保護期間を50年と定める国ではパブリックドメインとなっています。



当時、ウィーン・フィルは「ほぼ」デッカの専属で、デッカはそれを宣伝の謳い文句に使うことも許されていたようですが、ライバルEMI にもいくつかセッション枠は残されており、EMI はその少ない枠をオペラでは《ヘンゼルとグレーテル》とかこの《ローエングリン》に使ったようです。しかしデッカの録音技術には遠く及ばないのが残念ではあります。

ワーグナー:『ローエングリン』

 ローエングリン:ジェス・トーマス
 エルザ:エリーザベト・グリュンマー
 オルトルート:クリスタ・ルートヴィヒ
 テルラムント:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
 国王ハインリヒ:ゴットロープ・フリック
 軍令使:オットー・ヴィーナー
 ウィーン国立歌劇場合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ルドルフ・ケンペ(指揮)

 録音時期:1962年11月23-30日、12月1-5日、1963年4月1-3日
 録音場所:アン・デア・ウィーン劇場
 録音方式:ステレオ(セッション)

エルザを歌うのはエリーザベト・グリュンマー。出たよドイツ最強の箱入り娘!この人の歌う箱入り娘たちが《魔弾の射手》《タンホイザー》そしてこの《ローエングリン》とステレオで遺されたことはたいへんありがたい。そしてこうして動画対訳として公開できることを幸せに思います。

新婚の閨で次第に募ってくる不安、白鳥を目にしてのうろたえ、湧き上がってくる後悔の念、そうした表現のひとつひとつがキャラクターを形造る要素となり映像を伴わないにも関わらずエルザが鮮やかに立ち現れる。声楽的な華やかさや形の良さ、表面的な声の美しさは二の次というわけではないにしても、まずは声でキャラクターを演じきることに徹する、ある意味演劇的な歌い方と言えるかもしれません。今ではこういうスタイルは「古臭い」で片付けられてしまうんでしょうか。しかし、こういう歌手の動画対訳を制作するのはとても楽しい作業となります。

これまでに動画対訳に登場したグリュンマーと似たような雰囲気を感じさせる歌手としては、こんな人達が挙げられます。《アラベラ》で妹のヒルデ・ギューデン、《エレクトラ》のインゲ・ボルク、脇役だけど《魔弾の射手》でエンヒェンをかわいらしく演じているリーザ・オットーなど。グリュンマーとボルクはもとは演劇畑の人ではなかったでしょうか。昔はオペラと演劇の垣根が低かったということなのか、これがドイツ劇場文化の懐の深さなのか、しかし今では失われてしまった何かであるような気がします。

とある参考書に掲載されていたグリュンマー讃を紹介しておきます。

しかし、少なくとも五〇年代までは、こうしたドイツ・オペラを歌も台詞も演技も、高い水準でこなす歌手がドイツにはたくさんいた。すでに触れたシュヴァルツコップやゼーフリートはもちろんその中に含まれる。そして、この二人ほどの華やかさはなかったが、けっして彼女たちにひけを取ることはなかった名歌手にエリーザベト・グリュンマーがいる。

グリュンマーは、疑いもなくドイツではプリマドンナ級の歌手だったが、一方で彼女ほど、イタリア風のプリマドンナの派手なイメージとはかけ離れた人も珍しいのではないだろうか。

彼女にはエキセントリックな要素がまったくない。声や表現、また容姿や演技にも、観客の熱狂を引き起こすような並外れた魅力や目を見張るような個性があるとは言えないだろう。しかしオペラでもコンサートでも、グリュンマーには、まず欠点というものがない。その意味では、いわゆる「手堅い」歌い手には違いないのだが、優等生的で面白みがないという欠点すら彼女にはないのだ。

一見、地味に聴こえる彼女の歌は、丹念に聴くと実に細やかな表現に満ちていて、言葉の一言ひとことへの気配り、心の襞を映し出す自然なフレージングなど、我々が役柄に期待する正統的なイメージを最も的確に表出していることに気づくはずだ。グリュンマーこそドイツ・オペラの王道を歩んだ名歌手であり、「オーソドックスも極めれば誰も匹敵できない個性にまで至る」という格好の見本と言えるだろう。

実際にグリュンマーが歌っているレパートリーの多くでは、彼女以外にも別の魅力を放っている歌手は少なくないとしても、グリュンマーの表現の練り上げられた高みに達しているという例はほとんどない。《魔弾の射手》のアガーテ、《タンホイザー》のエリーザベト、《ローエングリン》のエルザ、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のエーファなどである。


残りの幕は第2幕、第1幕と遡って仕上げることになると思いますが、年内の公開はちょっとムリでしょうね。

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