#TPP で許されなくなるオペラとは(4)

トスカTPPに関して前回記事に続き、今回はイタリア・オペラの音源を取り上げて、「著作隣接権」保護期間の延長がプロジェクトの活動に与える影響を考えてみたいと思います。

TPPに関する過去記事はこちら。

オペ対はTPPに断固反対します
TPPで許されなくなるオペラとは(1)~(3)

ビートルズがデビュー50周年なんだそうです。『1962年10月5日にイギリスにてデビュー曲「ラヴ・ミー・ドゥ」を発売。』、これがメジャー・デビューとのこと。ということは、今年の年末に日本における著作隣接権保護期間50年が終了することになりますね。

これで来年1月1日から「ラヴ・ミー・ドゥ」の音源をYouTubeにアップしたり、ファイル交換ソフトで放流したり、やりたい放題できるかというと、そうではありません。「隣接権」の保護期間は終了しても、「著作権」の保護期間は継続しています。ポール・マッカートニーは健在ですし、ジョン・レノンの「著作権」保護期間は2030年末まで継続しています。著作権の権利者に無断でそーいうことをしてはいけませんね。(もっともビートルズの楽曲の権利は既にレノン=マッカートニーの手を離れているようですが)

「著作権」が「死後50年」であるのに対して「著作隣接権」は「公表後50年」なので、20世紀の作品の音源ではしばしばこのような保護期間終了のズレが生じます。オペラでは例えば《ピーター・グライムズ》なんかはその典型でしょう。作曲者自身の指揮によるDecca盤は1958年録音、1959年発売なので「著作隣接権」保護期間は2009年末に終了しています。しかし、ブリテンの「著作権」保護期間は戦時加算も含め2037年5月まで継続します。ブリテンの作品は《ピーター・グライムズ》に限らず、許可を取らずにYouTubeにアップしたりしてはダメです。

福井健策ただし、以上はこれまでの話。TPP が締結・発効すると、「著作権」は50年から70年に、「著作隣接権」は50年から95年に保護期間が延長される可能性が高いのです。

TPP と著作権(知的財産権)についてもっと深く知りたい方は、福井健策氏の著作を読んだり、ツイッターをフォローしたりすることをお勧めします。

そしてつい先日、三団体連名による「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」が立ち上げられ、提言が公表されています。個人の資格による賛同者を募っています。提言をお読みいただき賛同いただける方は是非署名をお願いします。

TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム
  呼びかけ人:
   特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
   thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム)
   MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会)



前置きが長くなりました。今日の本題イタオペです。オペラ対訳プロジェクトに参加している翻訳ボランティアさんはドイツ語得意な人が比較的多く、イタオペの翻訳はあまり進んでいません。対訳が完成しているのは次の4本です。(ヘンデルはバロック・オペラであってイタオペではないととりあえず考えておく)
これらの録音で著作隣接権保護期間50年がもうすぐ切れそうな音盤、すなわち TPP が発効するとその影響を真っ先に食らう音盤をチェックしてみましょう。TPP の発効とこれら音盤の「隣接権」保護期間終了とどちらが早いか。保護期間のほうが先に終了すれば、動画対訳の音源として使うことができるはずです。


《トスカ》 プライス/カラヤン

録音:1962年 公開:1963年 保護期間終了予定:2013年12月31日

《トスカ》 カラス/プレートル

録音:1964年 公開:1965年 保護期間終了予定:2015年12月31日

《トスカ》 ニルソン/マゼール

録音:1966年 公開:1967年 保護期間終了予定:2017年12月31日

テバルディ盤で第1幕の動画対訳を制作済みですが、このあとも個性的な音盤が続々とパブリック・ドメインになるのを待っています。

イタオペとなればマリア・カラスの音盤を検討しないわけにはいきません。しかしみなさんご存じの通り、カラスのオペラ全曲録音は、この《トスカ》新盤や《カルメン》を除くと、めぼしい録音は1950年代に録音されています(そしてその時期がカラスの全盛期だったわけですが)。それはつまり2010年を境にそれらはおそらくほとんどがパブリック・ドメインになっているということを意味します。ですので本稿ではカラス盤はいちいち取り上げません。ちなみに、本日12月2日はマリア・カラスの誕生日。もし生きていれば89歳。


《椿姫》 デ・ロス・アンヘレス/セラフィン

録音:1959年 公開:1960年 保護期間終了:2010年12月31日

《椿姫》 モッフォ/プレヴィターリ

録音:1960年 公開:未確認 保護期間終了予定:未確認

《椿姫》 サザーランド/プリッチャード

録音:1962年 公開:1963年 保護期間終了予定:2013年12月31日

《椿姫》 スコット/ヴォットー

録音:1962年 公開:1963年 保護期間終了予定:2013年12月31日

《椿姫》 カバリェ/プレートル

録音:1967年 公開:未確認 保護期間終了予定:未確認

《椿姫》 ローレンガー/マゼール

録音:1968年 公開:1969年 保護期間終了予定:2019年12月31日

《椿姫》の動画対訳は第1幕だけカラス盤で作成しました。ただ、このカラス盤、カラスの歌はすばらしいのですが、モノラルのうえにスカラ座のライヴなので音質が極めて悪い。第2幕以降の動画対訳をこの盤で作るのを躊躇させるに十分な音質です。できればステレオ録音で第1幕から作り直したいと思っています。


《リゴレット》 サザーランド/サンツォーニョ

録音:1961年 公開:1962年 保護期間終了予定:2012年12月31日

《リゴレット》 モッフォ/ショルティ

録音:1963年 公開:1965年 保護期間終了予定:2015年12月31日

《リゴレット》 スコット/クーベリック

録音:1964年 公開:1964年 保護期間終了予定:2014年12月31日

動画対訳は第3幕をそろそろ作ろうと思っているのですが、モノラルなカラス盤かステレオなサザーランド盤か、迷っているところです。クーベリック盤のタイトルロールはDFDですね。


《ランメルモールのルチア》サザーランド/プリッチャード

録音:1961年 公開:1961年 保護期間終了:2011年12月31日

《ランメルモールのルチア》モッフォ/プレートル

録音:1965年 公開:1966年 保護期間終了予定:2016年12月31日

サザーランド盤で第3幕を動画対訳制作済みです。たぶん残りの幕もサザーランド盤で作ることになると思います。新旧カラス盤は制作が一巡したら作るかもです。


さて、世は総選挙とかで、TPP も争点のひとつなんだそうです。前にも書いたとおり私は自由貿易には賛成。だから「日本の農業を守れ」とか言ってる農協には全く共感しない。日本の農業をダメにしたお前らがそれを言うなと。また、高橋洋一氏は信頼できる評論家だが、ことTPPに関しての意見は承伏しかねる。氏は「TPP交渉参加は合コンと同じようなものだ」と言うが、行けば密室で強姦されるとわかっている合コンになんでノコノコでかけなくてはいけないのか。もっとも、この国のパワー・エリートは、アメリカさんに会うときはいつも到着するやいなや自ら進んでパンツを下ろす人ばっかりっていうのが、そもそも一番の問題なのではあるが。


次回、「TPPで許されなくなるオペラとは(5)」では、フレンチなオペラの音源を調べて、動画対訳に使えるのがあるかどうか、調べてみたいと思います。


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